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表紙には たくさんの鳥。とんだり はねたり 木をつついたり 何だか騒がしい様子。

かわいい女の子がニワトリにえさをやってます。
おや なにか気に入らないのか 1羽のめんどりが小さな鳥にいじわるをしていますね。
「あっちにいけ~」なんて言っているのでしょうか。

ページをめくるとどこかで見たような山小屋。馬に積んだ荷物の後からつのぶえをふきながら山を登ってくるのは、ウルスリ!?
そう あの大きな鈴を一晩かかって、たった一人で雪に閉ざされた山の夏小屋から持って帰ったあの勇敢なウルスリが かあさんの編んだ帽子をかぶって歩いています。

その後ろをニワトリの入ったかごを担いで歩いてくるのがフルリーナです。なんとうれしいことにあの勇敢なウルスリにかわいい妹フルリーナがいたのです。


季節は夏。雪に閉ざされたあの山の夏小屋にも緑の草が生え 花が咲き乱れ 虫たちが飛び回る夏がやってきます。ヨーロッパの北の地方の農場の人々は、夏になると山小屋や牧場で動物たちとひと夏をすごします。
夏にやらなければならない仕事がたくさんあるのです。

ほら ノルウェーのオーラの家族、ランゲリュード農場の4人のきょうだいも山の牧場でひと夏をすごしていますよね。(『小さい牛追い』『牛追いの冬』マリー・ハムズン作 石井桃子訳 岩波書店)

スイスのウルスリの家族もほっぺたをふくらませ、つのぶえをふいて ヤギたちとニワトリたちとひと夏の家財
道具を持って山を歩いて登ります。

冬の終わりに鈴を探しに行ったさびしい山小屋も夏を迎えて一変。明るい日差しがウルスリ一家を迎えます。

この絵本の主人公はかわいいフルリーナ。
キツネに母さんを食べられた一人ぽっちのライチョウのひなを助けます。フルリーナは、この小さな山の鳥をそれはそれは必死に敵から守り抜きます。朝から晩まで小さな鳥の事だけを考え、山からおりてもずーと一緒にいたいと小鳥をかごに入れ閉じ込めます。逃げないように 危ない目にあわないように。

「その鳥をそうくるしめてはいけないよ。うちのそとに とんでいかしておやり」と とうさん かあさん ウルスリに言われ 泣く泣く山の鳥をはなします。 山の鳥は まっすぐに空にとんでいきます

もう小屋を離れ谷に戻る時がきました。山の鳥が元気で暮らしているのかしら とフルリーナはたしかめずにはいられません。会いたいと 探し続けます

小鳥は見つからなかったけれど フルリーナは岩穴にひかり輝く石をみつけます。スイスの山の「精」水晶。

もう山をおりる時間です。ドアのカギをかけ よろい戸を閉めます。


その時におこる奇跡 ここを読むたびに泣けてきます。


 『フルリーナと山の鳥』 ゼリーナ・ヘンツ文 アロワ・カリジェ絵 大塚勇三訳 岩波書店 1974年 初版本